奨学金とは?仕組み・種類・返済を初心者向けに解説|借りるべきかの判断軸と返済で失敗しない方法

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奨学金は「将来への投資」とも言えますが、同時に「人生の大きな負担」にもなり得ます。
実際、社会人になってから奨学金返済に悩む人も多く、事前に仕組みを理解しておくかどうかで、その後の人生の余裕が大きく変わります。

この記事では、奨学金を検討する学生や家庭に向けて、制度の基本、種類、返済の仕組み、判断基準、注意点をわかりやすく解説します。

奨学金とは?まずは基本を理解しよう

奨学金とは、進学に必要な費用を学生に貸与(または給付)する制度です。
教育の機会を公平にするための制度で、主に次の2種類があります。

給付型:返済不要
貸与型:卒業後に返済が必要(有利子/無利子)

日本では「JASSO(日本学生支援機構)」の制度が中心で、最も利用者が多い奨学金です。

奨学金の種類|給付型・第一種・第二種の違い

奨学金を検討する際は、以下の3タイプを理解することが重要です。

給付型奨学金(返済不要)

家庭の収入・学業成績などの基準に応じて支給される制度で、返済は不要です。
対象者は限られますが、利用できるなら最優先で検討すべき制度です。

第一種奨学金(無利子貸与)

金利が一切かからない貸与型の奨学金です。
成績基準や家庭収入の基準があります。

第二種奨学金(有利子貸与)

年利3%を上限とする利息付貸与型の奨学金です。

希望者の多くが利用できるため、進学費用の中心となる存在です。

比較的低金利ですが、近年利率が上昇傾向にあります。。実際の利率は、その時点の金利水準に応じて変動します。一般の教育ローンより低めに設定されていることが多いものの、借りる前にJASSO公式サイトで最新の利率を確認しておくことが大切です。

JASSO(日本学生支援機構)「平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率」

第二種奨学金では、「利率固定方式」と「利率見直し方式」を選択できます。固定方式は返済終了まで利率が変わらず、見直し方式は一定期間ごとに金利が変動します。金利上昇局面では将来の返済額に影響するため、申込時に説明をよく確認し、自分に合った方式を選ぶことが重要です。

入学時特別増額貸与奨学金

第一種奨学金(無利子)または第二種奨学金(有利子)に加えて、入学した月の分の奨学金の月額に一時金として増額して貸与する有利子の奨学金で、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」に申し込みをしたものの利用できなかった世帯の学生・生徒を対象とする制度です。

入学時特別増額貸与奨学金は、原則として10〜50万円の範囲から希望額を選ぶ仕組みです。利用には一定の収入基準などの条件があり、「必要な分だけ借りる」ことが前提です。入学金や初期費用が大きく不足する場合に限定し、家計全体を考えた上で適切な金額を見極めましょう。

奨学金だけでは足りない場合に検討される「教育ローン」について

奨学金を検討する家庭の中には、
「入学金や初期費用が重なり、どうしても資金が足りない」
というケースもあります。

その際の選択肢として、日本政策金融公庫の「教育一般貸付(国の教育ローン)」や
民間の教育ローンが紹介されることがあります。

ただし、ここで重要なのは
“奨学金の代わり”として安易に利用すべきものではない
という点です。

教育ローンには次の特徴があります。

  • 金利は奨学金より高めで、利息負担が確実に発生する
  • 名義は親(保護者)で、家計に直接負担がかかる
  • 入学金・引っ越し費用など、短期間にまとまった資金が必要なときに限定して使われることが多い
  • 審査があるため、希望額が必ず借りられるわけではない

教育ローンは、どうしても必要な場合の「一時的な資金調達」と割り切るのが現実的です。

“借りられるから借りる”のではなく、
《返せるかどうか》を家計全体で冷静に判断することが何より重要です。

項目奨学金(JASSO)教育一般貸付(国の教育ローン)民間教育ローン
運営主体日本学生支援機構(JASSO)日本政策金融公庫銀行・信用金庫・カード会社など
名義人学生本人親(保護者)親(保護者)が大半
金利無利子(第一種) or 有利子(第二種)固定金利(低め)変動 or 固定(金利は高め)
申込時期在学中に学校経由で申し込み進学前でも申込可能進学前でも申込可能
利率の特徴第二種は市場金利で変動(低金利だが将来変動あり)JASSOより高いが公的で比較的低めもっとも高くなる傾向
借入上限第一種・第二種により異なる最大350万円(子1人につき)申込者の年収・信用に応じて決まる
審査家計基準・成績基準家計基準の審査あり収入・信用情報に基づく厳しめの審査
返済開始卒業後借入後すぐ借入後すぐ
返済方式元利均等 or 所得連動型あり元利均等返済元利均等返済
メリット無利子または低利。学生本人の将来返済公的で金利低め。まとまった資金を借りやすい申込が簡単。スピード融資が多い
デメリット返済が卒業後に集中しやすい親の家計に大きな負担金利がもっとも高く、返済総額が増えやすい
向いている家庭学生本人の負担を軽くしたい家庭初期費用がどうしても足りない家庭他制度が使えない例外的ケース

奨学金は借りるべき?判断する3つの基準

奨学金は「借りるべき人」と「借りないほうがよい人」がいます。
次の3つが重要な判断材料になります。

将来の収入見込み

返済は10〜20年続くこともあります。
進学後の職業や平均収入を調べ、無理のない返済計画が立てられるかを考えましょう。

進学の目的が明確か

「なんとなく進学」は、返済が負担になり後悔しやすいパターンです。
学びたい分野やキャリアの方向性がある程度固まっているかが重要です。

必要額を正確に把握しているか

大学4年間で必要な費用は、学費以外にも多くあります。

教科書代
交通費
家賃
生活費

これらを含めると数百万円規模になることも珍しくありません。

奨学金は“借金”であることを忘れない

奨学金は、一般の借入と比べて以下のメリットがあります。

  • 低金利で借りられる
  • 返済期間が長く設定できる
  • 救済制度が豊富

そのため正しく使えば、将来の選択肢を広げる心強い制度になります。

ただし、奨学金のうち貸与型は、卒業後に返済義務が生じる借金です。

名義人(親か本人か)、必要な資金額、金利、返済期間などの条件を比較し、家庭全体で最適な組み合わせを考えるなど、無理のない進学資金計画を立て、本当に必要なものなのか判断しましょう。

奨学金の返済はどう行われる?流れとシミュレーション

奨学金の返済は、卒業後に猶予期間を経てスタートします。
返済額は借入額・利率・返済期間によって変わります。

返済例(第二種・有利子)

借入額:300万円
利率:0.3%
返済期間:15年

→ 毎月の返済額:約17,000円

社会人1年目の生活費を考えると、この負担は決して小さくありません。

返済が厳しいときの救済制度

奨学金には返済負担を軽減する制度が複数あります。

返済期限猶予制度

病気・失業などで返済が難しい期間、返済を待ってもらえる制度。

返済期限猶予制度は、返済そのものを免除する制度ではなく、「返す時期を先送りにする」仕組みです。また返済額減額制度は、一定期間返済額を2分の1や3分の1に軽減できる制度ですが、その分返済期間が延び、総返済額が変わらない点に注意が必要です。いずれも「返せない時に相談すれば選べる調整手段」であり、早めに申し出るほど対応の幅が広がります。

返済額減額制度

一定期間、毎月の返済額を半分に減らすことができます。

返還免除制度

成績優秀者や特定の条件で免除されるケースもあります。

一部の奨学金では「所得連動返還方式」を選ぶことができます。これは、本人の年収に応じて返済額が自動的に決まる仕組みで、収入が低い時期には返済負担が軽くなります。ライフイベントに左右されやすい時期でも返済を続けやすい制度として注目されています。

延滞するとどうなる?絶対に避けたいリスク

奨学金の延滞を放置すると、次のような大きな問題が発生します。

  • 延滞金の発生
  • 信用情報のブラックリスト入り
  • 保証人への返済請求
  • 給与差押え

返済できないときは「相談」が最重要です。
延滞よりも軽い負担で利用できる制度が整っています。

奨学金の失敗例から学ぶ|やってはいけない借り方

必要以上に借りる

生活費まで必要以上に借りると負担が非常に重くなります。

進路を考えずに借りる

将来の収入見込みが低いと返済が長期化しやすくなります。

親任せにする

返すのは本人です。親が勝手に決めると、後から本人の負担になります。

近年の調査では、奨学金の返済負担が「就職先」「転職」「結婚」「出産」などの人生の選択に影響しているケースも報告されています。返済が重いと、本来やりたい仕事ではなく「給料の高い仕事」を優先せざるを得なくなる場合もあります。こうした心理的な影響も踏まえ、借入額は慎重に検討することが大切です。

奨学金は悪ではない。正しく使えば未来への投資になる

奨学金は「借金」でありながら、教育機会を広げる強力な制度です。
ただし、使い方を間違えると人生の重荷になります。

奨学金を利用するなら次の3つを徹底しましょう。

  • 必要最小限だけ借りる
  • 返済シミュレーションを必ず行う
  • 進学目的やキャリアを見える化する

奨学金は未来を切り開くための大切な選択肢です。
制度を正しく理解し、自分にとって最適な進路選びにつなげてください。


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