ポイント投資はおすすめしない理由|本質的な資産形成とは

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「ポイントで投資できるなら、ちょっと試してみようかな」──そう感じる人も多いかもしれません。
確かに、現金を使わずに始められるという点では、心理的なハードルが低いのがポイント投資の特徴です。

ですが、筆者の立場としてはポイント投資は練習としても不要だと考えています。
むしろ、ポイントをうまく活用して「浮いた現金」を本当の投資に回す方が、よほど合理的です。

ポイント投資とは何か

ポイント投資とは、買い物などで貯めたポイント(楽天ポイント、dポイント、Pontaポイントなど)を使って、投資信託や株式などの金融商品を購入できる仕組みのことです。

楽天証券やSBI証券などのサービスが代表的で、「1ポイント=1円」として扱われます。実際に証券口座を通して投資するタイプもあれば、あくまで“値動きを体験するだけ”の「ポイント運用」型も存在します。

一見すると「気軽な投資入門」に見えますが、注意すべき点がいくつもあります。

ポイント投資のメリットと限界

主なメリット

  • 現金を使わずに投資が始められる
  • 1ポイントから始められる手軽さ
  • お金の動きを体感できる

これらの点は確かに魅力的です。
しかし、それ以上に見過ごせない「構造的な限界」があります。

ポイント投資をおすすめしない理由

① 投資の本質から外れている

投資の本質は、「目的をもって資産を増やす」ことにあります。
しかし、ポイント投資はそもそも「余ったポイントを使う行為」であり、金額も不安定。
継続的に積み上げる仕組みにはなりません。

たとえば月に1,000ポイントを投資しても、1年で1.2万円、10年で12万円ほど。
この規模では、将来の資産形成に与える影響はごくわずかです。
「投資をした気になって終わる」──これが、ポイント投資の最大の落とし穴です。

② 企業都合でポイントの価値が変わる

ポイントは「企業の一存で価値が変わる疑似通貨」です。
有効期限の短縮、還元率の変更、交換レートの改悪──これらは過去に何度も起こっています。
うっかり使い忘れや、制度改定による失効リスクも現実的です。

たとえば、楽天はかつて「ポイント付与率を引き下げ」「ポイント利用の上限を変更」するなどの見直しを繰り返してきました。
つまり、あなたが積み立てた“投資の元手”が、企業判断で突然価値を失う可能性があるのです。

資産形成の基本は、「価値が企業の都合で揺らがない資産を持つこと」。
そう考えると、企業発行のポイントを軸にした投資は、本質的ではありません。

③ 投資リスクは現金と変わらない

「ポイントだから損してもいい」と思うかもしれませんが、値動きのリスクは現金投資と同じです。
市場が下がればポイントは減り、減ったポイントは現金のように保証もされません。

しかも、少額のため成果が見えにくく、「投資の実感」も得づらい。
結果として「なんとなく投資っぽいことをして終わる」だけで終わってしまうケースも多いのです。

④ 税制優遇を使えない(※一部例外あり)

ほとんどのサービスでは、ポイント投資でNISAやiDeCoなどの非課税制度を使うことはできません。
ただし、楽天証券など一部ではNISA口座へのポイント充当が可能なケースもあります。

それでも、制度の枠を活かすという観点では、通常の現金積立のほうがシンプルで安定的です。

⑤ “練習”としても非効率

「まずは練習としてやってみよう」という声もありますが、筆者はここにも懐疑的です。
なぜなら、ポイント投資で得られる経験は限定的で、本来の投資体験(資金計画・継続・リスク管理)を学ぶことにはつながらないからです。

さらに行動経済学的には、ポイントのような「現金でない資産」は損失への心理的抵抗が薄れやすいと言われます。
結果として、リスクを軽視したまま行動してしまう危険もあるのです。

もし学びたいなら、たとえ1,000円でも現金を使って実際の積立をしてみる方が、ずっと有意義です。
ポイントを投資に使うくらいなら、ポイントを“生活費の節約分”として捉え、その分の手持ち資金を本格的な投資に回す──これがもっとも合理的な使い方です。

「ポイントを使う」こと自体は悪くない

ここで誤解してほしくないのは、「ポイント自体が悪いわけではない」ということです。
上手に使えば、家計の負担を減らし、投資に回す余力を増やすことができます。

ポイントは“使うもの”。投資の「原資を生み出す仕組み」として活かす方が健全です。
たとえば次のような考え方です:

  • 日常の支出をポイントで支払い、浮いた現金をNISAに積立
  • ポイントで本や日用品を買い、学びや生活の質を高める

今後の投資環境も追い風に

2024年から新しいNISA制度が始まり、非課税枠や積立上限が大きく拡充されました。
本格的に資産形成を始めるには、まさに今がチャンスです。
ポイントを使って“投資ごっこ”をするよりも、制度を活用して“資産を育てる”側に回るべきタイミングです。

まとめ:ポイント投資は必要ない

ポイント投資は気軽で便利に見えますが、その多くは企業のマーケティングの一環です。
本質的な資産形成を目指すなら、安定した制度・自分の意思で継続できる仕組みを選ぶことが大切です。

投資は“余りもの”でやるものではありません。
「ポイントをどう使うか」ではなく、「お金をどう育てるか」を考えましょう。

今日からは、ポイントで得た小さな得を、本当の資産形成の種に変えていきましょう。
少しずつ、自分の未来を“育んで”いきましょう。

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