相続で揉める家族、揉めない家族の違い|お金より先に整えるべきこと

整える

相続という言葉を聞くと、どこか重たい気持ちになる人は多いと思います。

・まだ先の話だと思っている
・考えたら不安になりそう
・家族とお金の話をしたくない

そんな理由で、つい後回しにされがちなのが相続です。

ですが現実には、相続は「準備していない家庭ほど、静かに大きな負担を残す出来事」でもあります。
しかもその負担は、お金よりも人間関係や判断の重さとして表に出ることが多い。

この記事では、相続を
「節税」や「相続税対策」の話ではなく、
家計を整える延長線にあるものとして整理します。

結論から言えば、
相続で揉めるかどうかを分けるのは、財産の多さではありません。

違いを生むのは、
事前にどれだけ整っていたかです。

相続で揉める家族、揉めない家族の違い

相続トラブルというと、次のようなイメージを持たれがちです。

・財産が多い家の話
・兄弟仲が悪いから起きる
・お金に執着する人がいるから揉める

ですが実務の現場を見ると、
特別に裕福でなくても相続は普通に揉めます。

むしろ多いのは、
「そこまで大きな財産ではなかったのに、関係だけが壊れた」というケースです。

相続トラブルの原因は「金額」ではない

情報が見えていない

相続で一番多い問題は、
「何がどこにあるのか分からない」ことです。

・預金口座がいくつあるか分からない
・不動産の名義を誰も把握していない
・保険の受取人を知らない

この状態で相続が始まると、話し合い以前に混乱が起きます。

親の考えが共有されていない

もう一つ大きいのが、
「親がどうしたかったのか分からない」という問題です。

・公平にしたつもり
・特別扱いする意図はなかった
・家族なら分かってくれると思っていた

そう思っていても、言葉にされていなければ伝わりません。

結果として、

「なぜそうなったのか分からない」
「勝手に決められた気がする」

という不満が生まれます。

相続トラブルの8割は「普通の家」で起きている

相続でもっとも多い誤解は、「お金持ちの家が揉める」というものです。

ですが家庭裁判所の統計を見ると、実態は逆です。
遺産分割事件のうち、5,000万円以下の遺産での争いが全体の約75%を占めています。
さらにその中でも、1,000万円以下のケースが約3割を占めています。

なぜ「普通の家」ほど揉めるのか。
理由はシンプルで、分けにくい資産しか残っていないことが多いからです。

・実家の不動産だけ
・預金は生活費でほとんど残っていない
・思い出や感情が強く絡む

こうした状況では、「公平に分ける」こと自体が難しくなります。

相続トラブルの正体は、財産の多さではありません。
整っていない家計の延長線上にある、分けにくさです。

相続は「お金のイベント」ではなく「整理のイベント」

相続が大変になる最大の理由は、
非日常の出来事として一気に押し寄せることです。

ですが構造だけを見ると、相続は特別なものではありません。

・全体像が見えない
・ルールが決まっていない
・判断を急かされる

これは、整っていない家計とまったく同じ状態です。

相続とは、
人生の最後にやってくる家計の棚卸し

だからこそ、普段から整えている家庭ほど、静かに終わります。

最大の敵は「分けられない資産」

相続を難しくする最大の要因は、不動産です。

預金であれば、数字で割れます。
ですが不動産は、簡単に分けられません。

・売るか
・誰が住むか
・評価額をどう考えるか

これらを短期間で決めなければならない。

しかもその判断は、感情が最も揺れているタイミングで行われます。

ここで重要なのは、
「正解を決めておくこと」ではありません。

選択肢と考え方を、事前に見える形にしておくことです。

住むつもりなのか
売却も選択肢なのか
誰にどう託したいのか

これが共有されているだけで、話し合いの難易度は大きく下がります。

相続税より先に整えるべきこと

相続の話になると、真っ先に出てくるのが相続税です。

ですが実際には、
相続税がかかる家庭は全体の一部にすぎません。

それでも相続が重くなるのはなぜか。

理由は、税金の前にやるべき整理ができていないからです。

・財産の一覧がない
・負債の有無が分からない
・書類の所在が分からない

この状態では、税金以前に手続きそのものが進みません。

遺言がないことが生む「判断の押し付け」

遺言がない=自由、ではない

「遺言なんて大げさ」
「仲良く分ければいい」

そう考える人も多いですが、
遺言がないことは、自由ではなく判断の丸投げになります。

残された側は、

・自分が決めていいのか分からない
・後から責められないか不安
・兄弟との関係を壊したくない

こうした心理的負担を背負うことになります。

遺言の本当の役割

遺言は、お金を分けるためのものではありません。

本質は、
残された人の判断を軽くすることです。

完璧でなくても、方向性が示されているだけで、負担は大きく減ります。

遺言というと、「想いを書くもの」「家族へのメッセージ」と思われがちです。

ですが実務的に見ると、遺言の最大の価値はそこではありません。

遺言とは、
残された人が迷わずに済むための、判断の代行装置です。

何を優先するか
どう分けるか
どこまでを望んでいるか

それが示されているだけで、残された人は「自分が悪者にならずに済む」。

これは、非常に大きな心理的負担の軽減です。

揉めにくい相続に共通する「整い方」

比較的スムーズに進む相続には、共通点があります。

・財産の全体像が把握できる
・考え方が言葉で残されている
・完璧でなくても方向性が共有されている

逆に揉めやすい相続は、

・誰も全体を知らない
・察してほしいが前提
・突然判断を迫られる

この違いです。

重要なのは、
完璧に決めてあるかどうかではありません。

少しでも整っているかどうか。
それだけで、結果は大きく変わります。

今すぐできる「整える」一歩

相続準備というと、
専門家相談や遺言書作成を思い浮かべがちです。

ですが最初の一歩は、もっと小さくて構いません。

・口座、保険、不動産を一覧にする
・書類の保管場所をまとめる
・考えを書き留めておく

法的に完璧である必要はありません。

何もない状態から一段階進めること
それだけで、相続は現実的になります。

見落とされがちな「デジタル遺産」を整える

2026年の相続で、もっとも整っていないのがデジタル資産です。

・ネット銀行
・証券口座
・暗号資産
・サブスクリプション
・スマホそのもの

通帳がなく、郵送物も届かないため、存在にすら気づかれないことがあります。

ここで大切なのは、完璧な管理ではありません。

最低限、

・スマホのロック解除方法を家族が知っている
・ログイン情報の保管場所を共有している
・使っているサービスの一覧が分かる

これだけで、死後の手続きコストと混乱は劇的に減ります。

これはエンディングノート以前の、
現代の家計管理の一部です。

まとめ|相続は「整えてきたか」が問われる出来事

相続は、誰にとっても避けられません。

ですが、

・混乱の中で進むか
・静かに受け渡されるか

その差は、事前の整え方で決まります。

お金の多さでも、家族の性格でもありません。

情報と意思が、どれだけ整っていたか。

相続は、人生の最後に残る家計の整理です。

だからこそ、生きている今のうちから、
少しずつ整えておく。

それが、
残す側にも、受け取る側にも、
一番誠実なお金との向き合い方だと思います。


身近な人の死後の手続き 相続のプロが教える最善の進め方Q&A大全 今知りたい!もしもに備える152問に本音で回答! [ 佐藤省吾 ほか4名 ]

コメント

タイトルとURLをコピーしました