投資の世界では、「何に投資するか」以上に、
「どれだけ削られずに残るか」が結果を大きく左右します。
たとえば、年0.5%の手数料差は、
長期で見ると利益の1割以上を静かに奪っていきます。
この「削られない構造」については、別の記事でも詳しく整理しています。
では、その防衛理論を踏まえたうえで、
具体的にどんな道具を装備すればいいのか。
その答えの一つが、**ETF(上場投資信託)**です。
ETFは、投資信託に慣れた人ほど
「次の一手」として選ばれることが多い、
シンプルで、透明性の高い投資の装備です。
ETFとは何か?|「株のフリをした投資信託」
ETFとは Exchange Traded Fund(上場投資信託) の略です。
一言で言えば、
ETFは「株のように売買できる投資信託」
- 中身は分散された投資信託
- 売買は株式と同じ(市場でリアルタイム)
投資信託の「分散性」と、
株の「自由度」をあわせ持った存在だと考えると、イメージしやすいでしょう。
もう少し噛み砕くと、ETFは
「たくさんの株や債券をひとまとめにした商品」を、
株と同じ感覚で売買できる仕組みです。
たとえば、通常なら100社に分散投資しようと思えば、
100銘柄をそれぞれ買う必要があります。
ETFであれば、1本買うだけでその分散が一瞬で完成します。
投資信託 vs ETF|結局どっちが「削られない」?
| 観点 | 投資信託 | ETF |
|---|---|---|
| 売買 | 1日1回の基準価額 | リアルタイム |
| コスト | 近年は極めて低い | さらに低いものも |
| 積立 | 完全自動 | 定期買付が普及 |
| 分配金 | 内部で再投資 | 現金で支払われる |
かつては「ETFの方が圧倒的に低コスト」でした。
しかし現在は、eMAXIS Slimシリーズなど、ETFに匹敵、あるいは下回る投資信託も珍しくありません。
👉 今、あえてETFを選ぶ理由は「コスト」だけではない、という点が重要です。
実際、2026年現在は
「長期でひたすら積み立てる」だけなら、
低コスト投資信託だけでも十分に戦えます。
それでもETFが選ばれるのは、
・価格が常に見えること
・分配金という“現金の出口”を持てること
といった、運用体験そのものの違いがあるからです。
ETFの本当の強み|「現金」という手触りのあるリターン
ETFの最大の特徴は、分配金が現金で入ってくることです。
- 投資信託:中で自動再投資(複利効率が高い)
- ETF:現金で受け取り、使い道を自分で決める
つまりETFは、
- 再投資して「さらに育む」
- 生活や体験に「活かす」
という出口の選択権を、投資家自身が持てます。
これは
「育む → 活かす」
という「お金と暮らしの羅針盤」の思想を、最も体感しやすい部分です。
分配金と税金|ETFで必ず知っておきたい現実
ETFの分配金には、配当課税が発生します。
- 課税口座:分配のたびに課税
- 新NISA口座:日本での課税は非課税
ただし注意点があります。
米国ETFの場合
米国の代表的な株価指数に「S&P500」というものがあります。
これは、米国を代表する約500社の動きをまとめた指数です。
このS&P500にまるごと投資できるETFの代表例が、VOOです。
たとえば VOO などでは、
- 米国現地で 10%課税
- 新NISAでも、この部分は避けられない
- 外国税額控除の対象外になるケースも多い
このため、
「税金を極力後ろに回し、複利を最大化したい人」にとっては、
投資信託の方がストレスは少なくなります。
一方でETFは、
税金を払いながらも現金を受け取り、
それを再投資するか、生活に使うかを自分で決められます。
👉
- 税効率最優先なら投資信託
- 現金フローも重視するならETF
という役割分担が、2026年時点では非常に合理的です。
心理的メリット|価格が「見える」ことの良し悪し
投資信託は、
「夜まで価格が分からない」という安心感があります。
ETFは違います。
- 価格がリアルタイムで動く
- 暴落時に「今、この価格で拾う」という判断ができる
これは不安にもなりますが、同時に
**主体的に判断する余地(つくる)**でもあります。
価格の透明性は、
感情を乱す刃にも、味方にもなります。
新NISAでのETF活用|二階建ての設計図
2026年の新NISAは、
- つみたて投資枠:投資信託で「未来」を育む
- 成長投資枠:ETFで「今」を彩る
という使い分けができます。
老後のための土台は投信、
今を楽しむためのアクセントはETF
時間軸を分けることで、
投資は「我慢」ではなく「継続可能な仕組み」になります。
NISAについて知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
では、どこでETFを定期的に買えばいいのか?
主要ネット証券3社の、ETF定期買付サービスを比較しました。
主要ネット証券3社|ETF定期買付サービス比較(2026年)
| 項目 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 |
|---|---|---|---|
| ETF定期買付 | 米国・日本・海外ETF対応(非常に強力) | 米国・日本ETF対応(使い勝手◎) | 米国ETF対応(シンプル) |
| 買付手数料 | 無料枠が非常に広い(ゼロ革命) | 無料枠あり(ゼロコース) | 米国ETFは実質無料(プログラム) |
| 分配金の受取 | 証券口座/銀行連携(外貨可) | 証券口座/楽天銀行 | 証券口座(外貨可) |
| NISA成長投資枠 | フル対応 | フル対応 | フル対応 |
| 向いている人 | 自動化・銘柄数重視 | UI・楽天経済圏 | 米国株・為替コスト重視 |
各社の特徴と選び方
- SBI証券
👉 自動化の王様。東証ETFの定期買付まで対応し、
最も手間なく「二階建て投資」を実現したい人向け。 - 楽天証券
👉 視認性と生活連動。分配金が楽天銀行へスムーズに入り、
「活かす」実感を得やすい設計。 - マネックス証券
👉 米国株特化。為替コストを極限まで抑えたい、
ストイックな中上級者向け。
最初の一本、どう選ぶ?
迷ったら、
**「東証上場の米国株ETF」**から検討するのがおすすめです。
- 日本円で買える
- 分配金も円で受け取れる
- 米ドル管理のハードルが低い
ETFのメリットを、最も安全に体感できる入口です。
いきなり銘柄を厳選しようとする必要はありません。
まずは「米国株全体に広く投資するETF」を1本持ち、
値動きや分配金の感覚に慣れるだけでも十分です。
ETFは「正解を当てる投資」ではなく、
「仕組みを理解して付き合う投資」だからです。
まとめ|ETFは、投資を「透明」にする羅針盤
ETFは派手な商品ではありません。
ですが、
- コストが見える
- 中身が見える
- 出口を選べる
という点で、
投資を「納得しながら続ける」ための優れた装備です。
ETFで得た分配金を、
健康への投資に使う。
将来に向けて情報を整えるための軍資金にする。
お金は、回してこそ
**「羅針盤」**として機能します。
改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい [ 朝倉 智也 ]





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