「世界経済は、長期的に成長している」
投資の話をすると、よく聞く言葉です。
一方で、
「本当にこれからも成長するのか?」
「もう成熟しているのでは?」
「人口も減っている国が多いのに?」
と感じる人も少なくありません。
この記事では、世界経済がこれまで成長してきた理由を整理しながら、「なぜ長期ではプラスになりやすいのか」を考えていきます。
世界経済の成長とは何を指しているのか
まず前提として、「世界経済の成長」とは何を指しているのでしょうか。
一般的には、
- 世界全体のGDP(付加価値の総和)
- 世界企業の利益総額
- 人々が生み出す価値の合計
といったものを指します。
ここで使われる「成長」という言葉は、単に数字が増えているという意味ではありません。
多くの場合、インフレ(物価上昇)を差し引いた「実質ベース」での成長を指して語られます。
物価が上がっているだけでは、実質的な豊かさは増えていないためです。
世界経済が成長してきた、という話は、「値段が上がったから」ではなく、人々が生み出す価値そのものが増えてきたという意味で使われています。
重要なのは、一部の国や地域ではなく、全体としての話だという点です。
過去を振り返ると、世界経済は拡大してきた
戦争、恐慌、金融危機、感染症。
世界は何度も大きなショックを経験してきました。
それでも、長い時間軸で見ると、世界経済は拡大を続けています。
これは、
- 途中で何度も下がりながら
- それ以上に上がってきた
という形です。
一直線ではなく、階段状これが世界経済成長の実像です。
実際に、IMFなどの長期統計を見ると、世界全体の実質GDP成長率は、長期平均で年2〜3%程度で推移してきました。
もちろん、すべての年が成長しているわけではありません。
大きな危機の直後には、マイナス成長になる年もあります。
それでも、長い時間を取って平均すると、世界全体ではプラスの成長が積み重なってきました。
成長を支えてきた3つの大きな力
① 人口と労働力の拡大
長い間、世界人口は増え続けてきました。
人口が増えるということは、
- 働く人が増える
- 消費する人が増える
- 新しい需要が生まれる
ということでもあります。
一部の国では人口減少が進んでいますが、世界全体で見れば、いまも増加局面にあります。
なお、世界人口は今も増えていますが、増加ペースはすでに鈍化しています。
国連などの推計では、21世紀後半には、おおよそ100億人前後でピークを迎えるという見方もあります。
つまり、
- 「人口が永遠に増え続ける」わけではない
- 今後は「量」より「質」が重要になる
という段階に入りつつあります。
② 技術革新と生産性の向上
世界経済成長の最も大きな原動力は、技術革新です。
- 蒸気機関
- 電気
- 自動車
- コンピューター
- インターネット
- AI
これらはすべて、「同じ時間で、より多くの価値を生み出す」ことを可能にしてきました。
生産性が上がることで、経済全体のパイが大きくなります。
③ 企業活動と競争
企業は常に、
- より安く
- より良く
- より便利に
を追求します。
競争の中で、
- 無駄は削られ
- 新しいサービスが生まれ
- 利益が再投資される
この循環が、世界経済を押し上げてきました。
「成長=順調」ではない
ここで注意したいのは、成長は決して安定的ではないという点です。
- 景気後退
- 金融危機
- 地政学リスク
- パンデミック
こうした出来事は、必ずどこかで起こります。
それでも、
「成長が止まる」ことと「一時的に減速する」ことは別です。
世界経済の成長と投資はどうつながるのか
ここまでの話は、「世界経済が成長してきた」という事実の整理でした。
では、それが投資とどう関係するのでしょうか。
世界経済の成長とは、世界全体で生み出される価値が増えるという話です。
それが自分の資産に反映されるかどうかは、どこにお金を置いているかで決まります。
現金で持っていれば、世界経済が成長しても、その恩恵は直接は受けられません。
一方で、世界中の企業に分散して投資していれば、その成長の一部を取り込める可能性が生まれます。
つまり、投資で世界経済の成長の恩恵を受けるには、世界中の企業活動に分散して関わることが必要になります。
ただし、長期投資=常に増える、という意味ではありません。
世界経済の成長は、なだらかな右肩上がりではなく、停滞や急落を含みながら進んできたものです。
なぜ投資の話で「世界経済の成長」が重要なのか
投資で語られる「世界経済の成長」とは、
- 未来が必ず明るい
- 何もしなくても増える
という意味ではありません。
意味しているのは、
世界全体に分散して関わることで、個別の失敗を平均化できる
という考え方です。
一国・一企業は衰退しても、世界全体では入れ替わりが起きてきました。
世界経済の成長を過信しないために
さらに、将来の世界経済成長率が、過去より低下する可能性も指摘されています。
少子高齢化、地政学リスク、保護主義の高まりなどによって、
「年3%成長が当たり前」という前提は、成り立たなくなるかもしれません。
大切なのは、信じすぎないことです。
- 短期では大きく下がることがある
- 何年も停滞することもある
- 成長の恩恵は均等ではない
だからこそ、
- 長期
- 分散
- 継続
という姿勢が必要になります。
このような前提があるからこそ、投資の世界では、
- 一国に集中しない
- 一企業に依存しない
- 世界全体に分散する
という考え方が重視されます。
世界経済の成長を信じる、というより、世界経済の「入れ替わり」に賭けるという感覚に近いかもしれません。
なぜ「オルカン」がよく選ばれるのか
世界経済の成長を前提にした投資を考えると、自然と候補に挙がるのが全世界株式(オール・カントリー)、いわゆる「オルカン」です。
オルカンは、
・先進国
・新興国
・世界中の企業
に幅広く分散して投資する仕組みを持っています。
これは、「どの国が勝つか」を予想するのではなく、世界全体の成長に乗るという考え方を、そのまま形にした商品です。
ただし、オルカンは万能ではありません。
短期では大きく下がることもあり、何年も停滞する可能性もあります。
為替の影響も避けられません。
それでもオルカンが選ばれるのは、世界経済の成長に参加するという考え方と、最も矛盾が少ないからです。
オルカンは、世界経済の成長を「当てにいく」のではなく、分散と時間で受け止めるための手段だと言えます。
世界経済の成長は「期待」ではなく「積み重ね」
世界経済が成長してきたのは、誰かの楽観ではありません。
- 働く人がいて
- 技術が進み
- 企業が試行錯誤を続けてきた
その積み重ねの結果です。
未来も同じ形で進むとは限りませんが、人が価値を生み出し続ける限り、経済活動は続いていきます。
世界経済の成長は、未来を保証するものではありません。
ですが、
・人は価値を生み続けてきた
・技術は生産性を高めてきた
・企業は試行錯誤を繰り返してきた
という事実は、長い歴史の中で積み重なってきました。
投資は、その流れに「参加するかどうか」を選ぶ行為です。
オルカンは、その参加方法の一つに過ぎませんが、世界経済の成長という前提と、最も矛盾の少ない形でつながっています。
まとめ|世界経済の成長をどう捉えるか
投資は、未来を当てにいく行為ではありません。
世界経済の成長を「信じる」というより、人の活動が続く前提で、現実的に備える行為だと捉える方が近いでしょう。
- 世界経済は長期で拡大してきた
- 途中には必ず停滞や危機がある
- 成長の原動力は人口・技術・企業活動
- 過信せず、長期視点で向き合うことが大切
世界経済の成長は、約束された未来ではありません。
ただし、これまでの歴史を踏まえると、「ゼロになる前提」で考えるよりも、人の活動が続く前提で備える方が合理的です。
それが、「育む」視点で世界経済を見るということです。
世界経済の歴史[第2版] グローバル経済史入門 [ 金井 雄一 ]




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