近年、「こどもNISA」という言葉を見かける機会が増えてきました。2026年度の税制改正で正式に創設される可能性が高い、新しい非課税制度だと報じられています。
教育費の高騰、少子化対策、金融教育の遅れなど、子どもとお金を取り巻く環境が大きく変化する中で、国が“子どもの資産形成を支援する仕組み”を本格的に検討し始めたと言えます。
しかし現段階では、どんな制度になるのか、既存の新NISAとはどう違うのか、ジュニアNISAの再来なのか、といった疑問が多く、情報が錯綜しています。
そこでこの記事では、現時点で分かっている材料をもとに、こどもNISAの想定される仕組み、誕生の背景、ジュニアNISAとの違い、メリットと注意点、今できる準備を分かりやすく整理して解説します。
こどもNISAは、子どもの将来資金づくりを考える家庭にとって、魅力的な選択肢になる可能性があります。制度が始まる前に概要をつかんでおくことで、制度開始時にスムーズに動けるようになります。
こどもNISAとは?2026年度の税制改正で検討されている“子ども専用の非課税投資制度”
「こどもNISA」とは、2026年度の税制改正で新設が検討されている、子どもの将来資金のための非課税投資制度(仮称)です。
政府資料や有識者会議の発言、報道内容を総合すると、次のような方向性が見えてきます。
- 子どもの資産形成を支援する新しい非課税制度
- 親のNISAとは別枠になる可能性が高い
- 投資対象はインデックス投信が中心になると見られる
- 運用の主体は親権者
- 非課税で長期運用し、教育費や将来の独立資金として活用できる
まだ正式発表はありませんが、国の少子化対策や金融教育推進の流れを考えると、制度として実現する可能性は十分高いといえます。
なぜ「こどもNISA」が必要とされているのか?背景にある3つの課題
こどもNISAが検討されている背景には、日本社会が抱える大きな課題が3つあります。制度の意図を知ることで、準備すべきことも見えてきます。
1. 教育費の増加と家計負担の重さ
日本の教育費は年々増加しています。
幼児教育から大学までの総額は、公立でも数百万円、私立では1,000万円を超えることも珍しくありません。さらに、物価上昇・円安の影響で留学や習い事の費用も増えています。
教育費は家計に与える影響が大きく、事前に準備しておかないと、その時期に家計を圧迫する原因にもなります。
こどもNISAは、長期で計画的に教育資金を育てていくための仕組みとして期待されています。
2. 日本の金融教育の遅れ
日本では、金融教育の取り組みが世界に比べて遅れていました。
近年やっと学校教育に投資や資産形成が導入されましたが、まだまだ家庭内での金融リテラシー格差が大きいのが実情です。
こどもNISAは、
家庭でお金の話がしやすくなる
子どもが成長とともに資産形成を実感できる
親子で「お金の教養」を育てるきっかけになる
という効果も期待されています。
3. 少子化対策・子育て支援としての側面
政府は少子化対策を最重要課題として位置づけています。
こどもNISAは「子育て家庭への支援策」としての意味も大きく、
教育費という大きな負担を分散する仕組みとして、多くの家庭にメリットがあります。
制度の目的をまとめると、
教育費の準備を楽にする
子どもの資産形成をサポートする
金融教育の促進
将来の自立を後押しする環境づくり
といった方向性が見えてきます。
現時点で想定される「こどもNISAの仕組み」まとめ(※予測)
制度創設前の段階ですが、政府の方針・報道・過去の制度から、次のような枠組みが想定されています。
対象:0〜18歳の未成年
現行NISAは18歳以上が対象ですが、こどもNISAは未成年が対象になる見込みです。
資産の管理は親権者が行います。
非課税枠:親とは別枠の可能性
「親のNISAに上乗せ」ではなく、「こども専用の非課税枠」が新設される可能性が高いと見られています。
これにより、家庭全体で非課税枠を有効活用できるようになります。
投資対象:インデックス投信中心になる可能性大
国の方針としては、
長期・積立・分散
低コストのインデックス投信
という原則を重視しているため、投資対象は投資信託に限定される可能性があります。
特に、
全世界株式
米国株式(S&P500など)
といった王道インデックスが中心になると考えられています。
引き出し:教育費や独立資金などに利用
こどもNISAで育てた資金は、
教育費
留学費用
就職・進学時の独立資金
などに活用できる仕組みになる見通しです。
ジュニアNISAのような「払出し制限」はない可能性が高い
ジュニアNISAは、18歳まで引き出し制限があり、制度を使いづらいという問題点がありました。
その反省から、
柔軟に引き出せる
教育費に使いやすい
制度設計になる可能性が高いです。
なお、こどもNISAについては、2026年度税制改正に向けて
現時点では「検討段階」の情報も多く、制度の詳細は確定していません。
ただし、日経新聞など複数の報道では、次のような方向性が有力とされています。
・累計の投資上限は600万円程度
・年間の積立上限は60万円程度
・積み立てた投資信託は、教育目的などで12歳から売却可能とする案
これらはあくまで政府・与党内で調整中の案であり、
正式決定ではない点には注意が必要です。
ただし、「教育資金を長期で準備する制度」としての設計思想は
現行NISAと共通しており、方向性を理解しておくことは
今後の家計設計において大きなヒントになります。
こどもNISAとジュニアNISAの違い
こどもNISAについて語るとき、必ず話題に出るのが「ジュニアNISAとの違い」です。
主な違いを整理します。
1. 払出し制限の違い
ジュニアNISAは「原則18歳まで払出し不可」という制限があり、使い勝手の悪さが大きな欠点でした。
こどもNISAは、この反省を踏まえ、柔軟に引き出せる制度設計になる可能性が高いと見られています。
教育費や進路に合わせて必要なタイミングで使えるようにすることが意図としてあります。
2. 制度の目的の明確さ
ジュニアNISAは資産形成のための制度ではありましたが、「教育費」との紐づけが曖昧でした。
こどもNISAは、明確に
教育費
子どもの自立資金
若い世代の資産形成の出発点
といった目的が設定される方向です。
3. 利用しやすさ
こどもNISAでは、長期・積立・分散の基本思想に沿った制度になると予想され、投資対象もインデックス投信に絞られる可能性があります。
これにより、初心者でも迷わず利用しやすくなります。
こどもNISAのメリットと注意点
こどもNISAは、制度として正式発表前ではありますが、多くの家庭にメリットがあると考えられています。一方で、注意点も存在します。制度の特徴を理解しながら、どのように活用できるかを整理していきます。
メリット1:教育費の準備が圧倒的にしやすくなる
教育費は家計を圧迫しやすく、計画的に準備しないと、必要なタイミングで大きな負担となることがあります。こどもNISAでは、非課税で長期運用できるため、早い段階から教育費を育てられるのが最大の利点です。
少額でも毎月コツコツ積み立てることで、時間と複利の力が働き、10年・15年というスパンでは大きな成果が期待できます。
メリット2:親子で金融教育が進めやすい
子ども名義の資産を親が管理することで、成長に合わせて「お金の話」がしやすくなります。
積立額
資産の増減
世界経済の動き
など、自然な形で金融に触れる経験は、将来の自立につながる大きなメリットです。
メリット3:親のNISAとは別枠で非課税メリットを得られる可能性
報道などから推測される制度案では、親とは別に「子ども専用の非課税枠」が用意されると考えられています。
もしこれが実現すると、家庭全体で非課税枠を最大限活用でき、教育費を効率よく育てることができます。
メリット4:インデックス投資中心で、初心者でも迷いにくい
新NISAを含め、国が推進しているのは「長期・積立・分散」。
こどもNISAも同様に、インデックス投信を中心としたシンプルな制度になると予想されています。
全世界株式
S&P500
日本株式インデックス
といった商品が中心になることで、投資初心者でも選びやすい仕組みになりそうです。
注意点1:制度内容はまだ確定していない
こどもNISAは、2026年度税制改正の検討段階で、正式な制度設計はこれから固まっていきます。
実際の制度が「予想と違う」という可能性もあるため、最新情報を逐一確認する必要があります。
政府発表
金融庁の資料
証券会社のガイド
これらを定期的にチェックすることが大切です。
注意点2:投資にはリスクがある
どれだけ優れた制度であっても、投資である以上リスクは避けられません。
価格の変動
一時的な下落
為替影響
特に長期で運用する場合は、途中の値動きに不安を感じやすい点には注意が必要です。
ただし、長期で積み立てるほど値動きは平均化されやすく、慌てて解約しない仕組みを作ることが大切です。
注意点3:早く始めるほどメリットが大きく、遅いほど効果が薄くなる
複利の効果は「時間」に強く依存します。
0歳から始めた場合と、10歳から始めた場合では、同じ金額を積み立てても結果が大きく異なります。
こどもNISAが始まったら早めに利用することで、制度の恩恵を最大化できます。
注意点4:親の無理な積み立ては逆効果
子どもの教育費を準備したい気持ちは大切ですが、生活費を圧迫してまで積み立てるのは本末転倒です。
まずは家庭の家計バランスを整え、
捻出できる範囲で積み立てる
生活防衛資金は確保する
親のNISAとのバランスを取る
こうした視点がより重要になります。
こどもNISAが始まる前にやっておきたい準備
制度が正式にスタートしてから動くよりも、事前に準備しておいた方が圧倒的にスムーズです。ここでは「制度前に絶対やっておくべきこと」を整理します。
準備1:親の証券口座を開設しておく
こどもNISAも、管理するのは親の証券口座になる可能性が高いです。
まだネット証券を持っていない家庭は、早めに開設しておきましょう。
SBI証券
楽天証券
このどちらかを選んでおけば間違いありません。
準備2:積立可能な家計のラインを把握しておく
教育費の積立は「無理なく続ける」ことが最も重要です。
毎月の収支をざっくりでも把握し、
今いくら積み立てに回せるか
どこまでなら継続可能か
を確認しておくと、制度開始後に迷いなく積立額を設定できます。
準備3:投資対象の候補を決めておく
制度が始まってから商品選びで迷うと、スタートが遅れてしまいます。
こどもNISAでは、おそらく次のような王道インデックスが候補になるでしょう。
全世界株式
S&P500
どちらを選ぶかは家庭のスタイル次第ですが、あらかじめ方向性だけでも決めておくとスムーズです。
こどもNISAはどんな家庭に向いている?必要かどうかの判断ポイント
こどもNISAは多くの家庭にメリットがありますが、すべての家庭に「必ず必要」というものではありません。家庭の状況や価値観によって向き不向きがあり、適切に判断することが大切です。ここでは、こどもNISAを検討するうえでの判断材料を整理します。
向いている家庭の特徴
教育費を計画的に準備したい
大学入学までに必要となる教育費は、家庭によっては数百万円〜1,000万円以上に達します。早めに準備を始めたい家庭にとって、こどもNISAは非常に効率の良い選択です。特に「毎月1万円の積み立てでも始めたい」という家庭は、こどもNISAを活用する価値が高いでしょう。
インデックス投資で長期的に運用したい
こどもNISAは長期投資を前提とした制度になり、短期売買や投機には向きません。コツコツ積み立てて、将来の教育費や子どもの資産形成の土台にしたい家庭と相性が良いといえます。
親がある程度お金の知識を学ぶ意欲がある
制度の仕組みや運用商品を最低限理解しようとすると、自然に「親自身の金融リテラシー」も育ちます。子どもに将来伝えられる知識としても大きな意味があります。
向いていない家庭の特徴
生活費がギリギリで積み立て余力がない
こどもNISAは「できる範囲で無理なく積み立てる」という前提が大切です。もし生活費が圧迫されるほど負担を感じるなら、制度が向いていない可能性があります。まずは家計を整えることが優先です。
子どもが大学へ進学しない可能性が高い
こどもNISAはあくまで「子ども名義の資産」。将来、教育費に使われることが前提となるため、高校卒業後すぐ就職する、大学進学が不要、といったケースでは必要性が低くなります。
短期で成果を求めてしまう
投資である以上価格変動が伴います。短期間で結果を求める人には不向きです。むしろ「値動きがあるからこそ積立が効果を発揮する」という理解が必要です。
まとめ|こどもNISAは「時間を味方にする教育費づくり」
こどもNISAは、子どものためだけでなく、親にとっても大きなメリットがあります。
早く始めるほど複利が効く
教育費の不安が減る
お金の話が自然にできる
将来の選択肢が増える
制度が始まったら、早めのスタートが大きな差となります。
まずは家計を整え、積立可能額と投資方針を決めておくことが最初の一歩です。
子どもにかかるお金大全 NISA、保険、助成金もスッキリ分かる [ 寺澤真奈美 ]



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