毎月分配型投資信託はおすすめしません|「毎月入金」という甘い響きに隠された代償

育む

「毎月お金が入ってくるなら安心そう」
「年金の代わりになりそう」

毎月分配型投資信託には、そんなわかりやすい魅力があります。

ですが結論から言います。
資産を育てる目的で投資をしている人に、毎月分配型投資信託はおすすめできません。

これは好みや価値観の話ではなく、
仕組みそのものが“資産形成に不利”だからです。

多くの人が毎月分配型投資信託に惹かれる理由は、とても単純です。
「毎月お金が入ってくる」という事実が、将来への不安を一時的に和らげてくれるからです。

ただし、この安心感は「増えている安心」ではなく、「減っていることに気づきにくい安心」である場合があります。
投資で本当に大切なのは、気持ちが落ち着くかどうかではなく、仕組みとして合理的かどうかです。

このブログで大切にしている「羅針盤」とは、
気分や雰囲気ではなく、構造を理解したうえで判断できる力のことです。

毎月分配型投資信託とは?

毎月分配型投資信託とは、
運用成果に関係なく毎月一定額の分配金を出すことを前提に設計された投資信託です。

一見すると、

  • 毎月収入がある
  • キャッシュフローが安定する
  • 使いやすそう

と感じます。

ただし問題は、その分配金の正体です。

分配金の正体|それは「利益」とは限らない

分配金には2種類あります。

  • 普通分配金:運用で得た利益
  • 特別分配金(元本払戻金):自分の元本を取り崩したもの

特別分配金は、
儲かったお金ではありません。

よく「タコ足配当」と呼ばれます。
これは「自分の足を食べて生き延びるタコ」の比喩です。

お金をもらっているつもりで
実は自分の資産を少しずつ食べている

この感覚を持てないと、非常に危険です。

「育む」視点で致命的な理由

資産が育つ前に、外へ出ていく

長期投資の本質は、
利益を再投資し、複利で育てることです。

しかし毎月分配型は、

  • 利益が出ても
  • 出ていなくても

毎月、強制的に資産を外に出す設計になっています。

これは例えるなら、

芽が出たばかりの苗を
毎月引き抜いて収穫している状態

「育む」どころか、
成長の芽を自分で摘んでいるのです。

ETFの分配金と何が違うのか?

ここで、前回の記事(ETFの分配金)と混乱する方もいるかもしれません。

決定的な違いはここです。

  • ETFの分配金
     → 中身の企業が生み出した「本物の利益(配当)」
  • 毎月分配型投信の分配金
     → 利益とは限らず、元本を削って作られることが多い

これは、

  • 本物の果実を収穫しているのか
  • 木そのものを削って食べているのか

という違いです。

数年後、この差は取り返しのつかない差になります。

ETFについて知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

なぜ新NISAではブレーキがかかっているのか(重要)

2026年現在、
新NISAの「つみたて投資枠」では毎月分配型投資信託は購入できません。

また「成長投資枠」でも、

  • 信託期間が短い
  • デリバティブを多用する

など、長期の資産形成に不向きと判断された商品は除外されています。

つまり国は、

毎月分配型投資信託は
「長期で資産を育てる用途には向かない」

と、制度設計上はっきり線を引いているのです。

この事実は、感情論ではなく判断材料として必ず知っておくべき点です。

国の制度は万能ではありません。
それでも、長期・積立・分散という前提で作られた枠組みに、
毎月分配型がほとんど入ってこない事実は重く受け止めるべきです。

これは答えを押し付けられているのではなく、
「自分で考えるためのヒント」を示されている、と捉える方が健全です。

NISAについて知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

銀行や窓口で勧められやすい理由

それでも毎月分配型が勧められる理由はシンプルです。

  • 説明しやすい
  • 毎月入金があり満足度が高い
  • 手数料が高めに設定されている

これは投資家目線ではなく、
売る側にとって都合がいい商品という側面があります。

「勧められる=良い商品」ではありません。

安心感を求める前に、整理しておきたいこと

毎月分配型投資信託が選ばれる背景には、
「毎月お金が入らないと不安」という感情があります。

ただ、その不安は本当に投資で解決すべきものなのでしょうか。

生活費や安心感の確保は、
本来は給与や貯蓄など、確実性の高いお金で整えるべき領域です。

投資は、不安を埋めるための道具ではなく、
時間をかけて資本を育てるための仕組みです。

役割が異なるお金を混ぜてしまうと、
どちらも中途半端になりやすくなります。

「毎月入金が欲しい」という気持ちが出てきたときこそ、
投資のやり方ではなく、
お金の役割分担そのものを見直すタイミングなのかもしれません。

見落とされがちな「隠れたコスト」

毎月分配型では、

  • 分配のたびに税務処理が発生
  • 再投資効率が下がる
  • 基準価額の回復が難しくなる

これは、資産を静かに蝕む
ノイズのようなコストです。

目に見えないからこそ、長期では致命的になります。

まとめ|削る投資より、育てる判断を

  • 毎月分配金は利益とは限らない
  • 元本を削る構造になりやすい
  • 新NISAでも長期投資向きではないと判断されている

「毎月もらえる安心感」の裏で、
将来の安心を削っていないか。

この視点を持てること自体が、
羅針盤を手に入れた証拠です。


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